柴田一佐衛門さんとの出会い

1月13日に多治見の陶芸家・柴田一佐衛門さんが、元赤坂のウィープロジェクト事務所に訪ねて来られました。
柴田さんとのご縁は、ウィープロジェクトのHP制作をお願いした、㈱メモリーバンクの木村社長のお引き合わせによるものです。
当日はあいにくの冬型の気圧配置により、岐阜からの新幹線は関ヶ原の雪の影響でダイヤが混乱し、柴田さんはやっとのことで東京に着かれました。

柴田さんは、多治見市滝呂町の陶芸家で、人間国宝の故・加藤卓男さんの甥であられ、1980年にはニューヨークに渡って様々なキャリアを積まれて、1990年に帰国されました。
柴田さんは、現在は、「織部のまち」多治見に、多くのアーティストが集まる工房群を創る活動をされておられることを熱く語られました。
その思いが私にも伝わり、その場で、趣旨に共鳴しました。
折しも1月31日に、岐阜県の下呂温泉「水明館」に能舞台・茶室があるというので、ウィープロジェクトで見学に行く予定があったため、その帰り道に、多治見の柴田さんの工房を2月1日に訪問するお約束をしました。

2月1日、天気は雨。
予想をしていたとはいえ、さすがに関東に比べてしんしんと寒さが伝わってくる中、ウィープロジェクト関係者総勢6名で、下呂温泉から2時間程の多治見の柴田さんの工房に到着しました。
早速、柴田一佐衛門さんの工場内の工房と、茶室などをご案内頂きました。
柴田さんは実に多才な方で、閉鎖工場の屋内を活用し、古い機械類を整理されて、工房の9部屋をご自分で大工仕事をなさって造り上げられていました。
広さも十分にあり、その部屋に入るアーティストが創作に励まれる姿が思い浮かび、私も実際に動き出すのが待ち遠しい思いです。

また、その敷地内には、ご自宅やご自身の工房もありご案内をいただきました。
築100年も経つお宅は、柴田さんの手による創意工夫にあふれた改装がなされていました。その一つ一つに全員が目を奪われました。
特にお茶室は柴田さんの発想の豊かさが、「にじり口」、「床の間」、「水屋等」にうかがわれ、壁の一部に『竹林に雲がたなびく透かし』をはめ込むなど、匠の技が見事でした。

また、応接室のガラステーブルは、厚さ20ミリ程の透明ガラス2枚を、円柱6本が支えており、そのこだわりに皆で感心することしきりでした。
そして、その応接室で和やかな雰囲気の中、柴田さんのニューヨークでのご苦労話や、アートウェアー(米国ジュエリーの登竜門)を手掛かりとして創作に励まれたことで、「ヴォーグ」などの一流ファッション誌の表紙に登場される等々、お話はつきませんでした。

それらのお話から、すべての基本はシンプルなんだなと実感させられました。
また、日本に帰国されてからは、禅の世界に踏み込み、無の境地をさまよった体験談も伺いました。
柴田さんを少しずつ知るにつれて、またお話しがしたくなります。
今年も、春に、横浜高島屋での個展が開催されるとのこと。
私たちみんなが楽しみにしていますが、皆さん方も一度覗いてみませんか。

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