「近代文明は自然破壊?」

2010年4月におきたメキシコ湾原油流出事故は、今世紀最大規模の人災となってしまった。 
それは、アメリカ合衆国ルイジアナ州のメキシコ湾沖合80kmで操業していたBP(ブリティッシュ・ペトロリアム)の石油掘削施設(石油プラットフォーム)「ディープウォーター・ホライズン」が爆発し、海底1522mへ伸びる深さ5500mの掘削パイプが折れて、海底油田から大量の原油がメキシコ湾全体へと流出した事故である。
日本ではさほど報道されていないが、米国及び周辺国では、毎日のようにその被害の状況や対応策について現地からレポートされている。
 
我々が想像するだけでも、石油流失による自然環境、社会生活、漁業、観光業(100億ドル、アラバマ州では50%減等)への影響は甚大であり、被害規模は数百億USドルとされている。
今後、ハリケーンシーズンを迎えて、メキシコ湾内を循環する海流により、拡散することが懸念され、被害は更に大きくなりそうで大変心配している。

事故の発生を聞いて以来、私自身も技術屋として、どの様な方法で流出をストップさせるのかに興味を持って見守りながら、自分でも様々な可能性について考えを巡らせていた。
実際には、まず特殊深海潜水艇を使い、海中パイプをレンチの様なもので挟み、流出を防ぐ案があり、5月5日に1箇所塞ぐことに成功したものの、流出量はさほど変わらなかった。
更に鉄とコンクリートの箱(高さ12m、100t)を海底の流出箇所にかぶせて、パイプで海上の回収タンカーに送る方法「トップハット作戦」が準備されたが、6900万パスカル(600気圧)という高圧で噴き出す原油の力により浮き上がってしまい、蓋をすることに失敗してしまった。
その後、何とか7月15日には新しいキャップ(75tの装置・バルブ3個)の設置により、原油流失の停止に一応成功したとしているが、その間の原油流出時間は、85日と16時間25分と記されている。

現代社会に於いて、化石燃料は、経済活動のエネルギー源として欠くことができない。
地球資源に依存することは、メリットを享受すると同時に、リスクも背負っていることを忘れてはならない。
特に、地球温暖化をスピードアップさせている大きな要因であるのは事実であり、近代化の中で自由経済活動を活発化することは、環境破壊を急ピッチで進めていることに他ならない。

もう少し、日常生活・経済活動の中でスローライフが出来る環境を創造していく事に、我々は真剣に取り組まなければいけない。
日常生活の中でのほんの小さなことでも(―例をあげれば、私は家の中での食器や洗濯などの洗剤に気をつけている)、その積み重ねが大きな効果に繋がると信じて、とりあえず行動することを心がけている。

毎日暑い日が続いているが、夏休みの一日、家族で話し合って「何か出来ることはないか」一つ行動してみることも良いかもしれない。