平成維新の中で
いま、日本の政治は大きく変わろうとしています。
民主・社民・国民新党の3党連立の鳩山内閣が発足してから1ヶ月余りが過ぎました。
すでに、閣僚の記者会見などからもわかる通り、明らかに政治主導の姿勢で進めていくことを強調しています。
いままでの官僚依存の政治からの脱却が掲げられて、具体的には、戦後50数年にわたり開催されていた事務次官会議の廃止や、さらには事務方による記者会見実施の禁止等々が、矢継ぎ早に動き出しています。
このように、政権政党が交代すれば、すべての物事の進め方、考え方が変わってくるのは当然のことです。
ご承知のように、米国では共和党と民主党の二大政党が時折入替ります。
政権運営を担うものが変わると同時に、サポート要員の交替も6000~7000人と大移動が行われ、国民も企業も時の政権に適応して対処、行動することになります。
米国民は、政権交代をごく当たり前(変わるのは当然)のこととして受けとめ、時の政権の中で生きる術・知恵を経験の中から備えているのです。
このたびの政権交代は、日本の政治史から見れば、明治維新、第二次大戦後、そして今日と、まさに“平成維新”に匹敵する大事態に相当します。
とくに今回は、『脱官僚』という言葉に象徴されるように、政治家自身が本来の政治を司ることに立ち戻ることで官僚依存から脱却し、国政の変革に取り組むべくリーダーシップを発揮する、いや発揮できる機会が巡ってきたということです。
これからは本来の政治家としての役割、力量が求められるので、資質はもちろんのこと、勉強していない政治家は当然の事ながら脱落していくでしょう。その点では民主党は長年政権野党であったことで、与党(自民党)に対抗するため、専門知識も豊富でよく勉強しており、問題点を明確に分析できているように感じます。
もともと、政治家は国民、納税者が選択した結果を受け止め、重大な役割と責任を担わなければならない立場に就いているはずですが、現実にはどのくらいその重みを感じてくれていたのでしょうか。
今回、日本も二大政党になり、与野党が緊張感をもって任期4年の務めを果たすなかで、待望していた本物の政治家も、かつてになく輩出してくるだろうと期待するところです。
私にとっても、ようやく本来あるべき体制になりつつあるかに見える日本の政治体制。
これからのその展開を注意深く見守り、とくに大きな転換期に来た日本の建設業のこれからについては、大いに意見を述べていきたいと思っているところですが、いまひとつ残念に思っていることがあります。
それは、国土交通省の「成長戦略会議」のメンバーのなかに、建設業関係者が一人も選任されていないことです。
「戦後行政の大掃除」という大テーマを掲げ、今までの慣例とは切り離し、新たな視点でビジョンを描きたいという意図は十分理解・共鳴ができますが、これではややバランスを欠いた結論になるのではとの危惧を感じます。
建設業のこれまでの経過から見て、過去との決別を図るには人選面でも一旦排除したいとの思惑が働いたのかもしれませんが、業界のなかにも業界改革や、建設業の未来のために一生懸命努めている人間がいることも、忘れないでいただきたいものです。
諺とは逆に、「森を見て、木を見ず」との思いを持ったのは、負け犬の遠吠えでしょうか、はたまた建設業が腐敗してきたとの判定にも見えるこの結果を、まずは素直に受け止めるべきなのでしょうか。
ご批評、ご批判を。














