プロデュース事業のスタート

ウィープロジェクト㈱が発足してから、初仕事として手掛けさせていただいたのは、「一絃琴」の演奏会の企画、プロデュースでした。
その話は、ある日、当社のメンバーの友人である峯岸一水さんが事務所に来られ、「今度演奏会をしたいので」との打診を受けて、あれこれと相談にのったことがきっかけでした。

(家元・峯岸さんの思い)
今回の演奏会は、単なるお稽古の発表会ではなく、家元襲名20周年記念ということで、心を新たに原点に戻って、更なる境地への再出発の場としたいということでした。
何度もミーティングを重ねていくうちに、私は、彼女が家元を若き日に襲名してからの様々な思いを、そしてこの度の演奏会にかける思いを、強く感じ取ることができました。
一絃琴は、シンプルで小さな楽器に見えるものの、若くして家元ととして修養を積んでいく中で、その後ろにある精神、哲学はとてつもなく大きく、自分の芸としても人間としても、不足ばかりを見せ付けられるような心持ちがいつもあったようです。
それでもある瞬間から、それ以上でもそれ以下でもない自分を受け入れた上で取組むことに一絃琴の精神を見出し、新たな気持ちで再出発をしたいという、ある意味では「未来への歩みとしての演奏会」にしたいということでした。

私たちはその思いを受け止め、よりよい表現の場とするために、スタッフ皆の力を集約してプロデュースをお引受けしましょうということで話がまとまり、早速、具体的な打ち合わせに入りました。
さらには、音響・照明の専門家や、舞台監督等との打ち合わせを重ねていきました。

(「清虚洞一絃琴演奏会」-あらたな歩みから20年-)
ただ、一言で「プロデュース」といっても、事前の準備作業にはいろいろな必要事があります。リーフレットの作成やプログラムの作成やチケット印刷から、宣伝・広報としてのプレスリリースの作成、関係邦楽雑誌、演奏会企画企業、報道関係等へのPR活動等々、とくに開催日が迫ってくるなかでは、皆で幾つも掛け持ちをしながら作業を進めました。

また、特別来賓として皇后陛下にご臨席を賜ることになり、宮内庁及び警視庁関係者との事前打ち合わせなど様々な仕事がありましたが、無事にリハーサルまでこぎつけることが出来、あとは本番を待つばかりとなりました。
そして、当日。準備は十分に行ったと思いながらも、開場準備をしながらバタバタ、ドキドキでしたが、開場すると滞りなく動き始め、お蔭様で当日は紀尾井小ホールも満席で、お客様にもご満足いただけ、盛会裡に演奏会を終了することが出来ました。
また、日本の伝統文化としての一絃琴を、少しでの多くの方に知っていただく機会の一助となれたことをとても幸せに感じました。
私は、このように主催者と心を通わせ、きめ細かい対応することで、その思いをくみ上げ、喜んで頂く演奏会ができたことを本当にうれしく思いました。
まさに、このプロデュースは、ウィープロジェクト㈱のスタートにもふさわしい初仕事になった気がします。
「一絃琴」という一本の絃に多くの人の輪が結び付き、素晴らしい共感・共鳴・共振の場ができたことは、私たちの創業の精神そのものだったからです。

同時に、「私たちにもできる」・・・米国・オバマ新大統領のスローガン“Yes, We can”を実感した日にもなりました。
この初心をずっと忘れず、皆で頑張っていきます。